平成26年7月12日〜13日
信仰と花の山「白山」 (日本百名山・花の百名山)


室堂から白山「御前峰」 (いわゆる表側)


                  白山室堂より御前峰 (白山奥宮)への登拝道


大汝山から「白山」 (いわゆる裏側)


        大汝山より剣ヶ峰 (左)と 白山本峰 「御前峰」


7月12日:別当出合〜中飯場〜砂防新道〜南竜道〜南竜ヶ馬場(テン場)
      南竜ヶ馬場〜トンビ岩コース〜室堂〜御前峰〜大汝峰〜室堂〜エコーライン〜南竜ヶ馬場

7月13日:南竜ヶ馬場〜展望歩道・アルプス展望台〜南竜ヶ馬場
      南竜ヶ馬場〜南竜道〜黒ボコ岩ルート〜観光新道〜別当出合

白山 1泊2日 行程図 (南竜ヶ馬場野営地にてテント泊)


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図

7月12日:別当出合〜中飯場〜砂防新道〜南竜道〜南竜ヶ馬場(テン場)
      南竜ヶ馬場〜トンビ岩コース〜室堂〜御前峰〜大汝峰〜室堂〜エコーライン〜南竜ヶ馬場


白山(はくさん)
白山は日本三霊山として富士山、立山と共に修験の山として有名であるが、花の山としても登山者の間で知られており、日本
百名山、花の百名山にも選定されている。
奈良時代が始まる100年も前に(717年)泰澄(たいちょう)上人によって開山されたとある。以来「越の白嶺」越前(
福井県)のシンボルとして古今和歌集などの歌や俳句に登場する。

7月11日夜四国を出発して北陸自動車道を通り福井北インターで下り02時30分「一ノ瀬ビジターセンター」に到着し車中
で仮眠する。白山は古来修験者の山として色んな方角から禅定道があるのだが、登山道としてメジャーなのがこの一ノ瀬・別当
出合登山口である。

砂防新道から白山へ

7月12日 05時「一ノ瀬」発のバスに乗り05時30分「別当出合」に到着して登山を開始する。丁度7月12日からマ
イカー規制が始まり一ノ瀬〜別当出合間は車で行く事が出来なくなっていた。


長い吊り橋の前が白山登山の出発点になるのだが、ほとんどの登山者がこの橋を渡り砂防新道経由で白山に向かっている。橋
の手前には左手に観光新道へ向かう登山道もあるがそちらは急な上りが続くので砂防新道の方が人気の様だ。吊り橋を渡ると
よく整備された石段の登山道が高度を上げて続いている。さっそくササユリが迎えてくれた。


 
   04時50分既に多くの登山者が集まっていた            05時過ぎにバスが来て乗り込む

 
      20分位で別当出合に到着する                 吊り橋を渡って砂防新道へ進む

 
     急だが整備された登山道が続く                     ササユリが迎えてくれた

06時10分「中飯場」休憩所に到着すると多くの登山者が一休みされていた。奥に滝の水が落ちているのが見える。ここか
ら少し急な石段を上がって行くと右手には高度感のある細く荒れた谷が見えて不動滝と思われる滝とその上にももう一つ滝が
見えた。沢の下流部にはおびただしい数の砂防ダムがあり土石流を受け止めているのだろう。途中でサンカヨウの大きな葉っぱ
があり、その上に紫っぽい実を付けている。


 
           「中飯場」休憩所                            急な石段道が続く

 
    サンカヨウは紫の実になっている                             不動の滝


07時頃になると青空が出て来て遠くに別山尾根が朝陽に輝いている。やっぱり山は晴天が気持ちがよい。別山尾根の中腹に
は斜めに筋が入って岩の崩壊地肌がさらされている。登山道の両側に続く草地にはオオバミゾホウヅキ、センジュガンピ、ズ
ダヤクシュ、ツマトリソウマイズルソウなどの花が次々に現れる。


  
  次第に日差しが出てくる                            向かいの別山尾根が見える

  
    センジュガンピ                                   オオバミゾホウズキ

  
      ヤグルマソウ                                      ズダヤクシュ

 
        マイズルソウ                                ツマトリソウ

07時25分池などが右手にある湿地帯には木道が敷設されていた。そこにはキヌガサソウや大きなエンレイソウが見られる。

やがて左手の藪いた沢に雪渓が残っている急な上り坂になり、そこを越えると07時50分「甚之助避難小屋」の大きな小屋
がありトイレなども併設させているので丁度良い休憩所になっている。平らな休憩所からは赤茶けた崩壊地を持つ支尾根の向
こうに別山尾根が晴天の陽を浴びている。


   
      池がある湿地帯には木道がある                  キヌガサソウはアルプスを代表する大型花だ

  
        エンレイソウ                               登山者が休憩している平地部

 
         ミヤマキンポウゲ                          07時50分 甚之助避難小屋

しばらく景色を見ながら休憩の後、四角い石組をした水場の横を抜けてミヤマキンポウゲの咲く登山道を進む。すぐに石段の
急な上りとなりヨツバシオガマ、ムグルマソウ、イワカガミが現れる。


 
甚之助避難小屋から眺める別山尾根 手前に崩壊地          甚ノ助避難小屋の水場を通って登山道が延びる

 
    やはりここからも急な石段が続く                ここまでクチバシが長ければ「クチバシシオガマ」じゃないの?


                一番右のピークが別山

  
  ヨツバムグラ (オオクルマムグラは葉が6枚以上ある)               コイワカガミ

   
   ミヤマキンポウゲが断然多い                       08時45分 南竜道分岐

08時45分分岐標識が立っており、南竜ヶ馬場まで1.0km、室堂まで2.0km(エコーライン経由室堂 2.4km
とある。
ここからテン場に行く横掛け道となる。ここにも色んな花が咲いており、ミヤマカラマツ、ニッコウキスゲ(蕾)、
イブキトラノオ、リュウキンカなどが確認出来た。
岩場にハクサンチドリの咲きはじめが数本ありその向こうに別山が見える。

  
 南竜ヶ馬場まで1km (室堂まで2.0km)   ヨツバシオガマ(クチバシシオガマ)とミヤマカラマツ

 
   イブキトラノオ                      リュウキンカ


                 テガタチドリと別山

09時10分前方に南竜山荘らしき小屋が見えて石積みの登山道に標識があり、南竜ヶ馬場4まで0.6kmとなっている。
ここは白山本峰(御前峰)と別山の中間点に位置する窪地にありこの登山道付近で唯一許された野営場である。もうすぐテン
場に着くと思うとホッとする。



       お〜〜〜 南竜山荘が見えてきた    右手奥の山裾にある建物が野営場(キャンプ場)

前方に恐竜の形をした雪渓を残す沢があり、斜面にはいかにも最近まで雪渓が残っていた事を思わせる様に草が横倒しになっ
ておりそこから赤っぽいショウジョウバカマが伸び上っている。沢には黄色いミヤマカラシナが咲いており、木橋を越えると
木道が南竜山荘まで続く。

この辺りは雪解けの湿地帯と思われるがイワショウブ、アカモノ、ハクサンコザクラなどが木道の左右に咲いている。男性が
大きなカメラを出して笹藪の中でウメバチソウを撮っているので話しかけると、その花は「コシジオウレン」と呼ばれるちょ
っと珍しい花だそうだ。そういえば茎が濃い紫色をしている。しばらく木道を進むとこのコシジオウレンの群落があった。


 
 09時12分 エコーライン分岐                      雪解けの斜面に咲くハクサンコザクラ

 
同じく雪解けの斜面に咲くショウジョウバカマ                     アカモノもある

  
         イワイチョウ                            恐竜の形をした雪渓の下にある沢を渡る

 
  ミヤマカラシナが沢に沢山咲いていた                  ミヤマダイモンジソウ

 
     南竜山荘が次第に近づくと木道が現れる           雪解けの湿地帯に咲くコシジオウレン (ミツババイカオウレン)


      葉っぱは枯草の下だがこれがコシジオウレンだ

南竜ヶ馬場野営場

09時40分南竜山荘に着く。木道から少し上がった場所に野営受付小屋がありテン場使用の手続きを行う。野営場所は小屋
から沢を渡った小高い場所にあり遠くからは見えない。
大きな雪渓の斜面を登ると数段に分かれた広い野営場がありテントが
沢山張られている。
周囲にはミヤマキンポウゲの黄色い花畑に囲まれ、水場のある炊事場やトイレもある快適な環境だ。室堂
は手前の山に阻まれて全く見えない。


   
  南竜山荘  左の建物でテン場の受付を済ませる              ベニバナイチゴ

 
   雪渓は相当分厚く残っている                       橋を渡って雪渓をテン場へと進む

  
     南竜山荘を振り返る                           すみません 写真をお願いしま〜す


    左手の丘は室堂から下るエコーラインがある    右手の雪渓がこれから室堂へ行くトンビ岩コースだ

 
白山室堂付近は自然保護区域の為に野営場はなく、テント泊をしようと思えば室堂から遠いこの場所しかないのだ。但し、こ
このテント内に重たいザックをデポして身軽に白山室堂へ日帰り登山を行えるという利点もある。


適当な空き場所を見つけてモンベルドームシェルターII型を出し10時30分テントを張り終える。この800グラム程の
ドームシェルターを使い始めてからはダンロップのテントはほぼお蔵入りとなっている。一人用のドームシェルターIもある
のだが、値段も重さもさほど変わらないので二人用のIIを買って使っている。

内側からポールをセットするには少し慣れが必要であるが大風が吹かない場所であればほぼ問題なく居住空間を提供してくれ
る。マーシーさんと槍ヶ岳北鎌に行った時も雪が舞う稜線でこのシェルターで寝たものだ。隣には赤いトンガリ型の大型テン
トがある。住人は見当たらないので夕方よく見せて貰う事にする。



 
       南竜ヶ馬場野営場                               野営場にある炊事棟


  愛用のモンベル・ドームシェルターII (当然シングルウォールだ。 一人使用では十分に広い

10時55分南竜山荘の横手から「トンビ岩コース」(石徹白道=いとしろどう)で室堂へ出発する。ここから室堂へ行く
には他に東側の「展望歩道コース」や少し来た道を引き返して「エコーラインコース」などがあるが、トンビ岩コースが最短
距離なのだ。心配なのはアイゼンを持って来なかったので結構残っている雪渓部分の状態であった。トンビ岩までは大きく言
って3か所の雪渓部分があり、最初の雪渓上部から西側へ方向転換し再度「御前坂」と呼ばれる雪渓を上がる事になる。


 
   トンビ岩コースへの入り口                              アオノツガザクラ


入口の標識には室堂まで1.8kmとなっている。アオノツガザクラが咲く沢筋に入ると木道が切れてさっそく雪渓歩きとな
る。15分程歩く戸最初の雪渓から左手の沢筋へとラバースする。細めの第2雪渓を詰めると次第に左手へと湾曲して行き、暖
かい日差しで雪渓が割れたり細くなったりして岩が露出した沢筋となる。

ここを左に進むとやや大きな3番目の雪渓に繋がる。傾斜が急になり、窪みを辿りながら滑るのを気を付けながら歩かなければ
ならない。上からアイゼンもストックも無い男性が下りて来て「危なくて怖かった」と言う。こちらは上りだしストックのゴム
を外して雪渓に先を突き刺しながら歩く。何せ滑れば相当の距離を落ちて行く事になりタダでは済まない。やっと急傾斜を抜け
ると12時8分「御前坂」という標識があり、室堂まで800mとある。

 
  雪渓以外の場所はハイマツで歩けない       結構斜めに急な傾斜で滑りやすい雪渓である

 
  左手の雪渓に移動する               2番目の雪渓を詰める

 
    3番目の雪渓が最大規模で長い          上から単独の男性がこわごわ下りてくる

 
  この雪渓も斜めに傾いて予断を許さない       12時08分 この標識まで来ると一安心だ

背後には別山が見えて雪渓と一緒に写真を撮る。12時20分大きな岩がある雪渓の上部に着く。ここにトンビ岩っていう大
岩があるらしい。


コケモモが基部に咲く斜めに傾いた大岩を回り込むと前方のハイマツ林の向こうに雪渓と御前峰と思われる丸い山があるが室
堂は丘に隠れて見えない。山には雪渓の筋が入り、概ねハイマツの緑に覆われているが、中央部には岩稜地帯の無機質な縦線
が入っている。

暫くナナカマドの白い花が咲くハイマツ林の中を進む。 足元にはキヌガサソウやバイカオウレンが咲いていた。

 
  振り返ると南竜ヶ馬場や奥に別山が見える                 これはトンビ岩じゃなかろう

 
   まあ こちらがトンビ岩やろね                      根元にはコケモモがある

 
   フツーのバイカオウレンもあるでよ                     キヌガサソウはもう驚かん


     右上の岩っぽいピークが白山「御前峰」 いわゆる白山だ   室堂はスロープの下側(左手丘の裏側にある)

12時45分最後の大雪渓を室堂に向けて歩く。室堂平は小高い台地の様な場所に位置しているので近づくまで室堂ビジター
センターの建物は見えない。霧が出たりすると不安になる場所だと思われる。

雪渓の上部には行きかう登山者の姿が見えるので大倉尾根への「平瀬道」がそこに延びているんだろう。

ゆるやかな雪渓を上ると
13時00分やっと室堂ビジターセンターの小屋や白山神社に到着した。さすがにここまで来ると多
くの登山者で溢れている。大きな鳥居があり白山神社が御前嶺の懐に建っていた。

せっかくだから記念にレストランでラーメンを注文して食べる事にする。ラーメン定食はごはんが沢山付いているので食べれ
ないのでそっとおにぎり状にしてビニール袋に包んでテン場へ持って帰る事にした。


   
    別山をバックに雪渓を渡る                       平瀬道を歩く登山者にしぇーを撮って貰う

  
    室堂センターがすぐそこだ                       山側に白山神社があり鳥居が立っている

  
   室堂センターの食堂にてラーメン定食を頂く                  霊山のメッカ「白山神社」


白山・御前峰へ

13時30分白山神社にお参りして正面の広い石段を「白山(しらやま)比刀iひめ)神社奥宮」へと向かう。
ここに祀られている「白山比淘蜷_」(しらやまひめおおかみ)って何じゃ?

「白山比刀iひめ)大神」とは日本書紀に出てくる「菊理媛尊(くくりひめのみこと)」の事で何でも縁結びの神様らしい。
有名な「イザナギノミコト」(男神)と「イザナミノミコト」(女神)の喧嘩仲裁をした神様なのだ。日本書紀のストーリー
を要約すると二人でせっせと国生みの神様を誕生させている時、イナザギノミコトが火の神を産んで火傷の為に死んでしまう。

イザナギノミコト(夫)は妻の死を悼み「黄泉(よみ)の国」に妻を迎えに行く。するとそこで出会ったイザナミちゃんは醜
いゾンビ姿に変貌していたので驚いて逃げて帰ってしまうんですなあ。(気持ちはわかる) それに怒ったイザナミちゃんは
逃げた夫を追って黄泉の国の境界で「何で私を迎えに来ておいて逃げるのよ!薄情者!」「そやかておまはん恐ろしいんじゃ
もん」と言い争いになった。

その時に「まあまあ お二人さん」と喧嘩の仲裁に入ったのがこの「菊理媛尊(くくりひめのみこと)」すなわち「白山比
(ひめ)大神」と言う訳である。
無事、仲裁を受けて仲直りした二神の間に生まれたのが天照大御神(あまてらすおおみかみ)
や須佐之男尊(すさのおのみこと)と言う訳である。


今更縁結びの神様に興味がある訳ではないのだが、やはりこの白山は日本百名山の中でもメジャーな存在なもんですから一度
は来てみんと・・・


なだらかな参道の両側にはハイマツとナナカマドの林が広がり、その下草としてクロユリ、ミヤマハタザオ、ミヤマキンポウゲ
、イワカガミ、キバナノコマノツメ、シラネセンキュウ、バイカオウレンなどが沿道に並ぶ。クロユリはその中でも大量に咲い
ているので、もうゴキブリの羽に見える。
高度が上がって岩稜地帯が近くなるとタカネツメクサやイワカガミがメインとなる。


 
13時30分 ちょっと霧が出たけど御前峰へと進む               ナナカマドが白い花を付けている

 
  クロユリとミヤマキンボウゲ                         こっち向いて クロユリさん


   もうこれだけウヨウヨ咲いていたらゴキブリの羽根に見えちゃうのよね

 
    ミヤマハタザオ                               キバナノコマノツメ

 
      ミヤマセンキュウかシラネセンキュウ                    バイカオウレン

 
    タカネツメクサ                                   コイワカガミ


     室堂平が見える  ちょっとガスっぽい   左の雪渓がトンビ岩コース、右の雪渓が池めぐりトラバースコース方面

白山「御前峰」 標高 2,702.2m  

ハイマツ帯を抜けると岩っぽい山頂付近に人影が沢山見えるのでそこが御前峰山頂部と予想出来た。次第にガスが出てきた下界
を眺めながら歩くと14時15分石組の中に社があり「白山奥宮」に着いた。


 
    御前峰の山頂付近は岩だらけ                   奥宮は冬場の厳しい風雪から守る為に石垣が組まれている

神社から少し奥まった岩の高みに霊峰白山・御前峰の山頂標識(標高2,702.2m)と三角点があった。暫くガスの様子
を見ていると少し晴れてきて裏手(北側)の窪みに白い雪渓と青い池が見えて、大汝峰が聳えている。ここには沢山の池があ
る筈なのだが、ざっと見渡して左右に1つづつ見える(右が翠ヶ池、左が油ヶ池か)以外はどうも雪渓の下になっている様だ
った。


 
     御前峰にある白山奥宮                        室堂平にある室堂ビジターセンターが見える

 
      14時18分 日本百名山「白山」ゲット〜〜〜


   ユーモラスな雪渓を残す「大汝山」     左の池が油ヶ池、 右の池が翠ヶ池だろう


御前峰の山塊は東西に細長く伸びているので登山道は少し左(西側)から巻き気味に回り込んで北側へと下りて行く。道端に
はミネズオウが少し咲き残っている。
14時43分「油ヶ池」の標識がありその下に半分以上雪渓に埋もれた池がある。

振り返ると御前峰が南側のハイマツ斜面を持った女性的な形と対照的に長方形の岩屑の男性的な山だとわかる。裏表の激しい
人間は嫌われるが、裏表が違った山は面白い。
一旦左手へ下りた池めぐり登山道はこんどは右手に向かって池の傍に続く雪渓
を越えて進む。
すると今度は翠ヶ池が見え、凍った雪渓が池に浮いていた。


 
  御前峰の左端へと回り込んで北側へと下がっていく          眼下には雪渓を残した池が2つ見える

 
   右手には剣ヶ峰の鋭い姿がすくっと立っている             チングルマの咲き残り


   北側の平坦地へ下りると、今度は右手に向かって登山道が延びる


       池の配置図があったので写真に撮る  ほとんどの池は雪の下なので確認出来ない

 
           油ヶ池                            池コース図が残雪に埋まっている

  
        紺屋ヶ池も残雪で埋まっている                      剣ヶ峰
 

                御前峰を振り返る   左端が白山奥宮がある御前峰


大汝峰 (標高2,684m)へ

ツガザクラ、イワウメの岩道を下りて進むと単独の男性や女性、5〜6人の団体登山者と会い話を交わす。この後、室堂平に帰
る団体さんとは15時30分大汝峰分岐でお別れして西側から大汝峰へ上がる。右手の雪渓を見ながら岩だらけの稜線部を進む
とここでまともなミヤマダイコンソウの花にお目にかかる。

山頂部に近づくと傾斜が緩やかになり
15時40分大汝峰の山頂に着き、今度は南側の荒々しい御前峰と剣ヶ峰を眺める。ここ
にも沖縄の石垣みたいな石組があり社を守っていた。


 
            油ヶ池                                翠ヶ池が右手に見える


             北側からは荒々しい姿の御前峰を振り返る

 
     イワウメも花が残っている                        ツガザクラとコイワカガミ

 
どこが池だか登山道だかわからんので前の単独者について行く     翠ヶ池には残雪が流氷の様に浮いている


                現場にあった案内図を加工してみる


 
    大汝峰への稜線口から剣ヶ峰と御前峰を振り返る               ミヤマダイコンソウ

 
   御前峰を北西部から縦に眺めるの図                        大汝峰を目指す


          大汝峰の高度を上げた稜線から剣ヶ峰(左)と御前峰を眺める


            大汝峰 (標高 2,684m)  右手の入り口から石垣の中に進むと大汝神社の社がある

  
     大汝避難小屋                                       大汝神社


       大汝峰から南側の池や剣ヶ峰、御前峰を眺める

 
   大汝峰の南尾根を分岐へ向かい下る                 大汝峰を振り返った図  結構雪渓が大きい


  下の柱が立っている場所が分岐 (雪が深い場合の目印か)  室堂へは御前峰の西側を巻いて登山道が2本ある

16時先ほど団体さんと別れた分岐に下り着いて西側からう回路を通て室堂へと帰る事にする。地図を見ると
分岐から室堂まで登山道が中腹道と裾野道の2本あるが、ここは室堂まで1kmと標識に書かれた分かり易い裾野道を歩く。
この時間帯になるとさすが付近に登山者も無くちょっぴり不安で寂しい感じがする。登山道を信じて雪渓を渡り、ハイマツ林
の中に付けられて登山道を進む。


 
        大汝峰を下りた場所にある分岐標識                         五色ヶ池

 
一旦ザレ気味の登山道を御前峰から遠ざかるのでちょっと不安    雪渓を渡った前方に登山道がハイマツ林の中に見える

ミネザクラ、キバナノコマノツメ、ゴゼンタチバナ、ツマトリソウの花を見ながらトラバース道をどんどん進むと16時20
分室堂が前方に見えて安心する。
大きな雪渓を渡り16時35分室堂ビジターセンターまで帰った。白山神社がまだ開いてい
たのでお参りをしてお袋さん用にお札を貰う。


 
           ミヤマキンバイ                         タカネザクラ   別名 ミネザクラ

  
           キバナノコマノツメ                           オオヒョウタンボク

 
          ゴゼンタチバナ                                ツマトリソウ

 
    前方に室堂ビジターセンターが見えてホッとする         このルートも大き目の雪渓を渡る

 
   16時35分 室堂ビジターセンターに帰る                        白山雷鳥荘

 
     白山神社の中                                 16時50分 室堂平を去る  又ガスが出てきた


エコーラインで南竜ヶ馬場へ帰る


16時50分室堂を後にして五葉坂と呼ばれるなだらかだが石がゴロゴロして歩きにくい登山道をしばらく下ると眼下の平地
に左右に別れた道に出合う。このゴロゴロした石は雪渓の融けた水で登山道がべちゃべちゃになるのを避ける為に人為的に敷
かれたものだろう。17時05分分岐に標識があり、エコーラインを通って南竜ヶ駄馬まで2.3kmとある。すぐに
木道が
続き予想通りここにはハクザンコザクラが群生していた。


 
    五葉坂と言われる室堂からの下山道                    眼下の平地に左右二筋の道が見える

 
    エコーラインの木道が左に延びて行く                  ハクサンコザクラの群生地だった


         ハクサンコザクラ  ちょっと画像リサイズの為色が悪いです

 
  平原の端になると左手に向かって下っていく              このルートにも雪渓が残っている


            エコーラインのコースから御前峰を振り返る  こちらからの景色はなだらかだ

木道の平らな地形から今度は左手が谷になった斜面をジグザグに下りて行く。エコーラインの名前はこの谷に向かって叫べば
声が木霊すところから名付けられたのだろう。この歳になるとヤッホーなどと叫ぶのは恥ずかしくて出来やしない。
南竜ヶ馬
場への合流地点を通過して18時15分テン場に帰り着く。


   
        前方には南竜ヶ馬場が見える                    左手は雪渓を持った急な傾斜となっている


                    南竜ヶ馬場のテン場をズームする

  
     18時10分 テン場への橋を渡る                  18時15分 南竜ヶ馬場のテン場にやっと帰り着く

      手前が私のテント ドームシェルターII  奥に三角の面白そうなテントがある (ちょっと重いかな)

  
  夕方になるとテントが俄然増えていた                     テン場の夕焼けが美しかった


               南竜ヶ馬場は西側に山があるので夕日は早めに見えなくなる

 
ミヤマキンポウゲの咲き誇るテン場から美しい夕焼けを見ながら夕食を作る。(ってもただお湯を沸かしてアルファ米パック
に入れるだけの作業だが・・・)生きている間にあと何度こんな風景に出会えるのだろう、至福の時だ。

これが日帰り登山で夕闇が迫ってきた時の絶望的な焦りとは全く違う天国の風景となる。やっぱり遠いが来てよかったと思う。



平成26年7月13日

南竜ヶ馬場〜展望歩道・アルプス展望台〜南竜ヶ馬場

南竜ヶ馬場〜南竜道〜黒ボコ岩ルート〜観光新道〜別当出合


05時にテント場を空身で出発して展望歩道をアルプス展望所まで歩く事にした。白山を去る前にそこで日の出を拝む算段だ。
ライトを点けて木道を右手に進む。右手に山うば谷を見ながら山腹のトラバース道を上がる。雪渓を慎重に越えて進むと白山
シャクナゲが咲いている。その後もゴゼンタチバナ、ハクサンチドリ、ツマトリソウが見える細い登山道を進むと05時30分
お花畑の上側にアルプス展望所があった。数人の登山者が居たので天気予報の情報などを聞くが、やはり天気はあまり良くなく
当然日の出も見る事が出来なかった。

 
  雪渓を渡る頃になると周りが明るくなって来た      ハクサンシャクナゲが咲いていた

 
  東側が赤みを帯びるが雲が厚い                 日の出は諦めよっと

帰りに少し御花畑を散策してグンナイフウロ、ハクサンフウロ、テガタチドリ、コケモモ、カラマツソウなどを見た後テン場
へと帰る。その途中でも大柄なエンレイソウやマイズルソウが咲いておりお目当てのハクサンシャクナゲを別山をバックに撮
影する

 
   定番のゴゼンタチバナ                 ハクサンフウロ
            
 
       グンナイフウロ                   ミヤマカラマツ

 
    ハクサンチドリ                     テガタチドリ

  
     コケモモ                      マイズルソウ


         今日の目玉     ハクサンシャクナゲ

 
     ツマトリソウ                       オンタデ

06時25分雪渓を渡る。来る時は薄暗くてあまり良く見えなかったが、明るくなって見ると結構ヤバイ場所だった。
07時に南竜ヶ馬場近くに帰ると木道の周りにはコバイケイソウの葉っぱが沢山ある。やはりここも花が咲いた兆候はない。
テン場に帰ると昨日大汝山の麓で会った人達がテントを畳んで帰る途中に挨拶してくれた。テントの場所が離れていたので昨
夜は会う事が無かったのだ。

 
   06時20分雪渓の場所まで帰る          おう 結構ヤバそうに見える雪渓やんけ

 
  これも定番のキヌガサソウ              ミヤマキンバイかな

 
    南竜ヶ馬場に向かって木道が続く      南竜ヶ馬場の北東平地にはコバイケイソウの葉が沢山ある


       前日 大汝峰近くでお会いしたグループが挨拶をしてくれた

隣の三角大型テントの住人がいたので話しかけると聾唖者の方で隣のテントもその友人だった。テントを指さして凄いですね
えと身振りで表現すると一生懸命言葉を発して説明してくれた。名古屋から来られたこの二人は20キロ以上のザックを背負
って下山して行った。


明るくなったテント場を良く見るとハクサンチドリや斑入りのチドリが咲いていてお花畑の中だった。

 
        フツーのハクサンチドリ                           斑入りのハクサンチドリ

 
   重たいザックを背負った隣の住人                       さて、テントを片付けるかな


            聾唖のハンディに負けずに逞しい名古屋の二人組

08時になりテントを片付けようとした時に雨が降り出した。急いで炊事場の建物に所帯道具を運び込んで片付け作業にかか
る。


帰りは黒ボコ岩コースから観光新道を歩く

08時45分南竜ヶ馬場の野営場を出発して帰りは南竜道から黒ボコ岩へ上がり観光新道を歩く事にしている。これで白山の
南側にある登山道をあらかた全て歩く事になるのだ。
南竜道には相変わらずイブキトラノオ、ニッコウキスゲ、サンカヨウ、
キヌガサソウ、イワカガミ、カラマツソウなどが次々に現れて花の種類が豊かだ。


 
   さらば 白山南竜ヶ馬場、南竜山荘よ                   恐竜雪渓が残る沢の橋を渡る


             前日歩いたエコーラインから団体登山者が下りて来る

 
          イブキトラノオ                            ニッコウキスゲ

黒ボコ岩コースへ                              

09時20分黒ボコ岩への分岐に着き、ここから普通室堂への上り道となるのだが遠回りをしても別な道を歩きたいので回り
道をする。この登山道にもキヌガサソウやサンカヨウが普通に群生している。黄色い花が目に留ったがこのキンポウゲ科の花
は一体何や?葉っぱがイチゲ型では無くミヤマダイコンソウの様に丸いがギザギザは少ない。まるでイワイチョウの黄色版だ
・・・う〜〜ん これが「リュウキンカ」だろう。


この頃から雨が激しくなりイブキトラノオも風に揺れる。


 
  前方の白い標識のある場所から黒ボコ道は右へ入る                  サンカヨウ

 


 
   ミヤマキンポウゲの咲く登山道を上って行く              登山者も上りなので随所で休憩している

 
          リュウキンカ                               キヌガサソウの群生

 
     ミヤマダイモンジソウ                          白山名物 延命水だよ
 
    キバナノコマノツメも今回何度もお目にかかった             10時15分 これが黒ボコ岩じゃろね

10時08分延命水という水場に着くと大勢の団体ツアー登山者がいて女性のガイドがこの水を飲むと10年長生きが出来ま
すと嘘八百を並べている。まあ聞く方も笑いながらなので罪はない。


この水場の上側に「黒ボコ岩」があった。すぐ横に分岐標識があり観光新道への矢印には殿ヶ池避難小屋1.1km、別当出
合5.2kmとなっている。10時20分この観光新道への分岐を出発する。
すぐに細尾根となりシナノキンバイやニッコウ
キスゲ、イブキトラノオがますます雨に濡れて風に揺れている。



       黒ボコ岩分岐    下山口の別当出合まで 5.2kmある   雨が激しくなる
 

なんだか葉っぱやら花やらわからないヒメレンゲの親玉みたいな形の緑色をした植物が数多く現れる。これがトウダイグサ科
の「ハクサンタイゲキ」らしい。大戟(たいげき)とは中国の利尿剤の漢方名であるらしい。あまり美しくも無いこの花はず
〜とこの後も登山道に現れる。


 
             ハクサンタイゲキ                    お前はミヤマオトコヨモギなのか?

 
    ニッコウキスゲとイブキトラノオが沢山さいている                テガタチドリも


登山道は真砂坂と呼ばれる急な岩っぽい下りが続き、雨の為滑らない様にゆっくりと歩く。ニッコウキスゲやコオニユリは雨
風に比較的強く逞しく揺れているがタカネナデシコは哀れな恰好でうずくまっていた。

下から外国人のカップルが雨に濡れながら上がって来た。大体が外国人は雨をあまり気にしないのだが、こんな激しい雨の中
で雨具も持っていない様だった。果たして無事に室堂に着く事が出来たんだろうか。また出会う登山者も簡易雨具を着ている
登山者が多い。これも人気の山と言う事で気が緩んでいるんだろう。


11時10分雪渓を越えると益々雨が激しくなり視界も悪い。11時50分になると岩の細尾根となる。標高が少し低くなっ
たのか先ほどからヒヨドリバナが沢山現れる。


  
   ニッコウキスゲが沢山咲いている                       ハクサンタイゲキが物凄く多い


12時07分潜(くぐり)り岩がありその傍らの標識に別当出合3km、室堂3kmとあるからちょうど登山道の半分の場所って
事になる。雨で視界も悪く花も見栄えがしないので黙々と歩く。

  
       ヒヨドリバナ                                       ホソバノヤマハハコ

アカモノ、ササユリ、ゴゼンタチバナが咲いている道を進むと丸太で枠を補強した石の階段状の登山道になり12時40分に
曲がり角「別当坂分岐」に着いた。ここを真っ直ぐに進むと白山(越前)禅定道となり六万山を経て市ノ瀬へ至る道である。


ここは左へ曲がって五輪坂と呼ばれる急な下りを別当出合へ進む。ここで休憩されている団体登山者も途中の標識に出てくる
「殿ヶ池避難小屋」を探しながら歩いたと言う。後で調べるとこの避難小屋は現在改築中で今年(2014年)秋に完成予定
だった。



    観光新道の中間点にあたるくぐり岩  室堂へ3km、別当出合へ3km


    ササユリの咲く登山道                         ニッコウキスゲの咲く登山道

 
     12時40分 別当坂分岐                        この分岐では左の別当出合方面へ曲がる

この別当坂分岐からは雨の時には歩きたくない急な岩崖状の道となる。下側に林道が見えるのだがいつまでたっても合流しな
かった。
登山道はダケカンバなどの背の高い樹林帯となる。

13時50分平たい場所に下り着き滑りやすい岩や石が少なくなってホッとする。

14時10分やっと登山口の吊り橋がある広場に着く。レインウェアを着て滑りやすい下り坂はあまり嬉しい歩きではなかった
が、前日の良い天気に山頂付近を巡る事が出来たのは良かった。



 
   ダケカンバの樹林帯となるが足元が悪い                 レンズも濡れ濡れじゃとて

 
      石段から平地に下りる                       樹林帯の登山道を下る

       14時10分 登山口に帰りついた

さて、白山登山は南竜ヶ馬場にてテント泊をして室堂から御前峰と大汝峰へ足を延ばして池巡りコースを歩く事が出来た。
登山道も砂防新道、南竜道、トンビ岩コース、エコーラインコース、アルプス展望コース(ここは展望所まで)、黒ボコ岩
コース、観光新道コースとほぼ網羅する事が出来大変満足感のある旅となった。

当初の予定では「荒島岳」へ回るつもりだったが雨でずぶ濡れになって、翌日の天気予報も芳しくなかったので取り止めて
福井恐竜博物館、永平寺、延暦寺を訪れて帰る事にした。

福井恐竜博物館





 


白山、花の時期はいい山ですよ〜

   
   

      目次に戻る           トップページに戻る