平成26年4月1日 荘内半島縦走記

詫間峠〜妙見山〜横峯山〜立石山〜鴨ノ越〜(大浜)〜紫雲出山〜(箱峠)〜糸ノ越〜(四国の道)〜三崎
〜(自転車)〜詫間峠
  (詫間峠〜三崎: 10時間10分 、詫間峠〜三崎〜詫間峠:12時間40分)


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソソフトを使ったGPSトラックログ図 全行程12時間40分 (自転車にて登山口に帰還時間も含む)


プロローグ

高速道路を愛媛県から香川県に入って大野ヶ原から高瀬に来ると左手の海岸線に燧灘(ひうちなだ)に向かって屏風の様に
続く山塊がある。これが観音寺から仁尾に至る稲積山〜志保山〜七宝山〜高尾木山の山脈で、「七宝(しっぽう)連山
呼ばれている。地元に酔狂な人がおれば、さしずめ仁尾アルプスなどと名前を冠するかも知れない。七宝山の由来は弘法大
師がこの地に七つのお宝を埋めたという言い伝えから来ているらしい。物欲を空しいものとする仏教の教えとは相対する話
だなあ。


この七宝連山の山塊は高尾木山で切れる事無く燧灘と備讃瀬戸を分ける詫間町の荘内半島として高みを持ったまま紫雲出山
を経て三崎で瀬戸内海に没する。この「三崎」付近で瀬戸内海は荒ぶる燧灘と穏やかな備讃瀬戸を分かつ。


数年前の夏、この魅力的な山域を2日間で歩こうと江甫草(つくも)山を出発し稲積山から志保山へ取り付いた。しかしな
がら熱中症になりかけて、おまけにケムシに両腕をやられて詫間峠で敢え無くギブアップ。ここから三崎付近へデポした車
までトボトボと海岸線を敗残兵の様に歩いた。

詫間峠で力尽きた前回の七宝連山縦走ログ


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)を使用したものである
 
カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図

七宝連山のブルーな思い出
    
江甫草(つくも)山の麓で燧灘にタッチ           意気揚々と高屋神社を出発

 
         志保山通過                           ヘロヘロで高尾木山を通過

 
途中で蜘蛛の巣攻撃と熱中症でダウン                  毛虫にやられて這(ほ)う這(ほ)うの体(てい)で撤退する


今年になってむらくもさん達が荘内半島の付け根辺りを歩きだしたのを契機に、長年の宿題を終わらそうと考えた。

計画は仁老浜に自転車をデポして詫間峠へ車で帰り峠部から妙見山へ取り付き藪山沿いに三崎まで歩き、縦走後は仁老浜
まで引き換えし自転車にて車を置いた詫間峠へ帰るという物だった。計画と実際のギャップは常にあるもの、さて今回は
どんな結末になるのだろう


第一部  詫間峠〜妙見山〜横峯山〜立石山(四等三角点)〜鴨ノ越(四等三角点)〜大浜 (約5時間20分

この前半ルートが荘内半島縦断のキーポイントになる典型的な里山の藪歩きとなる。特に横峯山周辺はあまり人が歩いて
いない=魅力の少ないマイナー山域であるから注意が必要とされる。



この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである
 
カシミールソフトを利用したGPSトラック・ログ図  詫間峠〜大浜

詫間峠〜妙見山 (約1時間)

04時半に高松の自宅を出て浜街道を詫間まで走る。詫間越えの車道を仁尾側へ通り駐車スペースを確認しながら通り抜
けて仁老浜(にろうはま)の漁港へ下り口に自転車をデポする。来た道を引き換えし詫間峠の手前に広い場所があったの
で駐車して06時20分峠に向かて歩き出す。


 
      生里(なまり)に自転車をデポ                        詫間越の駐車スペース

峠部辺りに来ると山に向かって短い農道があったのでこれを入って尾根に取り付く事にした。奥にはミカン畑があるが今
は作っていない様で荒れていた。正面へはイバラ藪がバリケードの様に立ちはだかっているので、左手の藪が薄い場所を
選んで笹藪を分けながら06時35分尾根筋に這い上がる。この尾根は踏み跡は無いが歩くスペースは確保されている様
だ。20分程この尾根を進むと右手の尾根筋から続く踏み跡と合流した。


 
  農道が北側に延びていたので吸い込まれる             突き当りのミカン畑近くから左の支尾根に回り込む

 
  スズタケを分けて直ぐに支尾根へ這い上がる            06時55分 右手からの踏み跡に合流

そこからは尾根に付いた踏み跡を辿りながら上方へと進む。07時12分少し視界が開けて東側の谷筋を眺める。尾根の
上を見ると何か旗の様な物が風に揺らめいていた。


 
        東側の谷筋を眺める                    ピークが近い 鯉のぼりみたいな物が風に揺らめいている

07時26分「妙見山」に到着。三角点名は三等三角点「城揚」標高319.79mらしい。妙見(優れた視力の意)と
いう言葉は良く耳にするが要は妙見大菩薩の事で、この菩薩さんは真言密教の仏様であり北斗七星を象徴とした天空の中
心をつかさどる仏様の「妙見さん」として古くから信仰されてきたらしい。信仰の効能は開運成就・五穀豊穣の様だ。
妙見山の名前は麓にある妙見宮(天蓋石で有名)から由来したと思われる。



                  07時26分 詫間峠から約1時間で「妙見山」に到着

 
   三等三角点「城揚」標高319.79m        ここから尾根が南西に振るので慎重に進む方角を決める

妙見山〜横峯山 (約1時間20分)

さて、妙見山から尾根ルートは南西方向に振るので注意が必要だ。コンパスと地図を出して進む方向を確認する。妙見山
から少し下り坂となり、すぐに良く読めない鉄の標識三叉路がある。左手の道は南側にある集落(朝日地区)から妙見宮
を経てこの尾根の先にある「星の石」と「千貫岩」へ至るのだろう。ここは右側の尾根道を進み、横峯山へのターニング
ポイント「千貫岩」までの尾根道はしっかりとした遊歩道の様だ。


 
妙見宮からの道が左手から合流する この分岐は右へ(直進)       星の石を右に回り込む

07時45分縦長い「星の石」と呼ばれる巨石を過ぎると見晴らしが良くなり正面に岩っぽい横峯山がその名の通り横長
く座っており、その奥には紫雲出山が見える。横峯山は縦にも横にも広がった山塊だが、この方角から見ると北側、詫間
町幸田地区と南側仁尾町下家地区、名部戸地区(詫間町)を跨いで、荘内半島に両手を広げる様に立ちはだかっている。
星の岩を右手に回り込んで少し下がると「千貫岩」に到着した。


 
ここまで来ると前方に紫雲出山が見えた 遠い〜〜         、妙見山〜千貫岩までは遊歩道がある


      07時46分 千貫岩に到着  江戸時代にはここに千貫松があったらしい  ここから遊歩道が消滅する

ドデカい岩の上には小さな千貫松の2世が生えておりここから踏み跡は消える。

さて、進む方向はほぼ決まっているのだが正面は藪で明確な尾根は見当たらない。左手にははっきりとした尾根があるが
取り敢えずこの大岩から直接北西方向に下る事にした。5分ほど我慢して下ると小規模だが尾根っぽい地形になって来た。
まるで中世城郭の土塁みたいな規模の尾根である。左手には所々に掘れ込んだ窪地の様な古い道らしきものがあるが、この
尾根筋を頼りに灌木やスズタケ藪を抜けて行く。所々に山ツツジの蕾や花が殺風景な景色に彩りを添える。黄色い色をした
残置テープも見られた。


 
    千貫岩の裏手から道は無い                    う〜〜ん ようわからんけど取り敢えず西北西へ進もう

 
5分程我慢して下ると規模の小さい尾根部が現れる          土塁みたいな規模ではあるが尾根筋に間違いは無い

08時10分正面に横峯山らしき山塊が屏風の様に現れてホッとする。このターゲットを捉えながら踏み跡のある猛烈な
スズタケ藪を進む。08時25分何だか石仏の様な物があり、そこを過ぎるとやっと横峯山の東尾根の端に取り付く。
この山の南側は岩っぽい斜面なので藪は薄く歩き易い。


 
07時56分 境界石らしき物があった                        08時03分小ピークを越える

 
ピークを越えると前方に横峯山らしき壁が見えた          こんな尾根なら大歓迎なんだけどなあ

 
     猛烈なスズタケが現れるが踏み跡もある                08時25分石仏が横峯山を見つめていた

スズタケが出てくると一本の踏み跡が尾根の左を巻いて延びる。暫くこの踏み跡を辿るが一向に上昇しないので途中から
尾根筋へ向かう。尾根部に這い上がるとやはりここにも踏み跡があった。地図を見ると横峯山の山頂部は標高279mが
縦長く続いている。


スズタケの藪を右手に回り込むと08時43分キティの野望・アクリル板山頂標識が樹に掛けられていた。う〜〜んこの
辺りどこでも良いのだが、この標識で横峯山通過を納得する。何とも魅力の欠ける山頂だこと。


 
      横峯山の取り付きは岩っぽいので樹木は薄い    下って来た妙見山方面を眺める  ヤマザクラが沢山咲いていた

 
トラバース踏み跡から尾根部に上がると明確な道があった        う〜〜ん いかにも魅力に欠ける横峯山の山頂だこと
                                             (08時43分)


横峯山〜立石山 (約 35分

さて、ここから次の立石山まではほぼ北西方向に進むのだが、横峯山直下で主尾根ルートが右に折れ曲がっている場所に
注意する。コンパスで大まかな方角を合わせて尾根を下る。尾根なりに進むとちょっとおかしい。右の主尾根方向へ少し
引き返すとこのターニングポイントに赤テープが残置されていた。後は単純な尾根となり岩を抜けて進むと長いテープが
張られていた。一体何を意味するテープが良くわからずそのまま尾根を進むと前方に藪っぽいピークが見える。


09時17分立石山=四等三角点立石山・標高242.83mに到着した。

 
地図を見て方角をチェック  最初は西へ、そして北に上がる     スズタケが酷いが踏み跡もある

 
   天気が良い日は紫雲出山が大まかな目標となる       08時55分北に切れ上がるターニングポイント
                                         松と笹藪だけに注意が必要(テープが残置されている)

 
09時05分 赤いテープが伸びていた (右側へ行くなってサイン?)   大岩の横を通る

 
        前方に立石山のピークが見えた              09時17分 三角点「立石山」にとうちゃこ〜〜〜  
 

立石山(四等三角点 242.83m)〜鴨ノ越(四等三角点 115.36m)〜大浜 
(約2時間 途中2度車道を横切る)


立石山から鴨の越まではほぼ真西となるが、途中北側・船越地区と南側・名部戸地区の間がくびれており車道も通ってい
るのでここをどうクリアー出来るかが楽しみだ。立石山山頂から尾根は北側に続いているが、ここは西に方角を定めてス
ズタケの藪に突入する。ヤマツツジに励まされながら藪尾根を進むと09時43分踏み跡が付いた歩き易い笹藪となる。
平らな尾根が西に向けて少しづつ下がって行く。

ここのパターンはウバメガシと思われる黒っぽい幹の雑木とスズタケが繰り返される。ツツジの花やヤマザクラが咲いて
いなければ殺風景な藪尾根であったろう。所泥で進行方向の少し右手に紫雲出山が見え、10時00分「カマボコ岩」を
通過すと、12分後に「天狗の手刀岩」があった。見事に岩がスッパリ切れているのでその方角をコンパスで調べると全
くアトランダムな方角だった。もしこれが東西南北に合っていたならきっとマヤ文明がこの地にあったとか、何とか大騒
ぎをする人が出た事だろう。


 
      進行方向を西に合わせる                        笹藪に咲くヤマツツジが有難い

 
   スズタケと灌木の里山風景                        尾根には明確な踏み跡が見られる

 
  10時00分 カマボコ岩を通過                       ヤマザクラが美しい  バックは紫雲出山

 
    薄暗い尾根道をヤマツツジが明るく照らす         何や〜  このスッパリ感は! きっと天狗の手刀に違いない
                                          (10時12分)

藪っぽい下り坂をしゃにむに下ると10時26分舗装道路が下に見えた。地図を見ると北側・船越地区と南側・大浜、名
部戸地区を結ぶ道路だった。ガードレールを越えて道路に下りると右手から車が一台上がってきたので素知らぬ態度で歩
く。


 
    藪尾根を下る (この辺りは道は見られなかった)         10時26分 いきなり道路に降り立った

道路を左手に進むとカーブミラーがあり、ここから次の尾根筋が続いている様だ。上側に向かって道はある様には見えず、
何やらゴソゴソ大きな音がするのでイノシシがいる様だ。一喝して尾根に取り付くと左手の斜面に逃げて行った。この尾
根も上に上がってしまえば踏み跡が現れて歩行に問題は無い。10時45分シダ藪を抜けるとヤマザクラの下に作業小屋
が左手にあった。シダが消えると又スズタケの藪となるが踏み跡は依然として続き、ツツジが相変わらず無愛想な藪尾根
でお接待をしてくれる。

当初、この小屋の向こう側のピークに三角点があるのかと思っていたが、そんなものは無く右手前方に別なピークが見え
た。地形的には少し手前に戻ってコルに下がる様だったが、ここは手っ取り早く藪尾根を下る事にした。すると何と又
舗装道路が下に見えた。


 
     道路の左手に次の進むべき尾根が見えた           10時30分イノシシの脅しにめげずに藪尾根に突入する

 
      尾根筋まで這い上がると踏み跡があった           10時40分 シダ藪となるが踏み跡あり

 
10時46分 ヤマザクラの近くに古い作業小屋がある         その後もシダ藪がしばらく続く

 
 11時03分右手前方にピークが見える これに向かって下がる   あれ? まだ舗装道路がありますがな〜

11時07分今度は少しガードレールまで高さがあり、それを這い上がる。さて、舗装道路に上がり次の進路を探す。道
路を左手に少し上がると、向かいに手すりの付いた法面作業道みたいな上り口があったのでそこから取り付く。最初はス
ズタケ藪でうんざりするが5分程で踏み跡が現れた。薄いスズタケの尾根を進むと11時20分四等三角点「鴨ノ越」
(標高115.36m)に到着。


 
道路の向かい側にある手すりの道を次の尾根への取り付きとする  最初は笹藪が酷いが次第に踏み跡が現れる

 
11時21分 四等三角点「鴨ノ越」を通過                尾根沿いのスペースを進む

 
      うっかりして北西尾根に乗ってしまったぞ            藪尾根をそのまま進む

 
  あ〜あ やっぱり藪がお似合いって事?                11時40分 大浜の民家近くに下りる

事前の計画ではこの三角点から北側の尾根を大浜と船越の間に下がる予定だった。しかし地図を見ずに尾根なりに進んで
いると途中で北西方面の大浜へ下っている事に気が付いた。


今更北側尾根に方向転換するのも面倒だ。大まかなルートからは外れていないのでまあいいじゃろ・・・とそのまま進む。
藪を構わず下り続けると11時40分大浜の民家近くに降り立った。



第二部 大浜〜(240mピーク)〜紫雲出山〜(四国の道)〜箱峠 (約3時間)

このルートは荘内半島の主峰「紫雲出山」を中心に車道や遊歩道が整備されているが、大浜〜紫雲出山間は敢えて藪尾根
ルートを歩いた。紫雲出山から箱峠までの尾根道はは四国の道として良く整備されている。



この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを利用したGPS トラック・ログ図  大浜〜紫雲出山〜箱峠


大浜〜紫雲出山 (約2時間)

三角点「鴨の越」から北側ルートへ下らなかった為、少し南側の大浜集落に下りた。郵便局近くの自動販売機で普段飲ま
ないグレープジュースを買って飲みながら北側に見える尾根取り付き点=電波塔を見る。近くのおじさんに電波塔への道
を確認すると舗装道路が近くまで延びていると教えてくれた。11時50分その道に沿って小山へ上がって行くとリサイ
クル収集所らしき敷地があった。犬に吠えられながら裏側に続く花崗岩質の斜面を電波塔を目指す。大浜集落を見下ろし
ながらシダ藪を過ぎると12時06分アンテナ塔の立つ尾根ピークの南側へ辿り着いた。


 
   ちょっと大浜の南側に下りすぎちゃったわい            アンテナが立つピークへ向かう舗装道路

 
 リサイクル資材場の裏側に回り込む                      大浜地区を眺める

 
 12時06分 アンテナピークに到着                     ここから紫雲出山方面の尾根 最初はスペース豊か

尾根に道は無くスズタケやツツジの咲く藪尾根を進んで行くと12時19分少し広めの未舗装道路に出た。右下からこの
道路がここまで上がって来ていた。ラッキーと思いながら更に3分程進むとミカン畑のしっかりした作業小屋が立ってい
る。そして残念な事にここで快適な道路は終了している事を同時に発見した。


覚悟を決めて藪尾根に入る。尾根は里山特有の蔦に絡まれた背の高い樹木とウバメガシや所々に出没するスズタケの風景
である。


 
 右手から整備道が尾根に延びている  ラッキー           12時22分ミカン畑の作業小屋があり尾根道がここで消滅〜

12時36分棘のあるクスドイゲが数本出てくる。概ねそんなに酷い藪では無いが時々猛烈なスズタケや低木の藪が刺激
を与えてくれる。


上り坂の藪に手こずりながら進んでいると13時18分右手に紫雲出山のピークが見えた。

 
あれれ? 喜んだも束の間 道が無い〜 アンラッキー〜〜      まあ覚悟はしてたんだけど結構藪もある

 
サイカチだと思ったがクスドイゲの若い樹みたい            12時38分 近くに多くのクスドイゲがあった

 
     藪を振り返ると丸山島が見える                   荒れ尾根ではあるが概ね歩行困難と言う訳ではない

 
        障害物競争を繰り広げる                   13時18分 右手に紫雲出山のピークが見えた


う〜〜ん まだ遠いなあと思ってガッカリしていると上から人の声がする。あれ?道路に近いのかなあ・・・。すると前
方の猛烈なスズタケの向こうから「お父さんイノシシがおるよ」とか言っている声がする。何か姿を現すのが恥ずかしか
ったが石でも投げられたらかなわんので「脅かしてすみませ〜〜ん」とボソボソ言いながらスズタケから出ると何とそこ
は紫雲出山の下駐車場だった。13時28分肩身の狭い思いをしながら柵を乗り越えて進んで来た南東尾根を見下ろす。


 
上から「イノシシがおるぞ」という声を聞きながらスズタケに籠る   意を決してペコペコ謝りながら駐車場に這い上がる


               這い上がって来た紫雲出山の南東尾根を眺める

上の駐車場でアイスクリン(商標名)を売ってたのでたまらず買う。これを齧りながら山頂へと進む。桜にはちょっと早
いが桜見物の人がそこそこ来られていた。
山頂の弥生人家族に挨拶をして探すと13時46分けったいな形の三角点を発
見した。何度も紫雲出山へ来たことがあるが三角点をしげしげと眺めたのは初めてだった。


 
アイスクリンを齧(かじ)りながら紫雲出山 山頂へと向かう            紫雲出山は桜の名所だ


                   13時46分 紫雲出山三角点へ到着


紫雲出山〜箱峠 (約1時間) 四国の道

さて、今回の縦走も約3分の2の行程を終了した。ゆっくりと桜見物をしながら北側の尾根筋に沿って付けられた遊歩道
「四国の道」へと進む。


この尾根道を歩くのは初めてだが整備された階段状の道を安心して下って行く。その先には207mの複雑な地形をした
ピークがあるのだが、しっかりとした遊歩道の為誰も難なくクランク・ルートを正確に進む事が出来る。もし遊歩道がな
ければ道迷い者続出の難所であろう。それからは緩やかに下る快適な道を進み14時45分箱峠に着いた。



                七分咲きの並木道を展望所より四国の道へと進む

 
四国の道指標に従って尾根を下りて行く                       遊歩道の階段を下りて行く

 
          207mピークへの上り                            振り返ると紫雲出山

 
207mピークより箱峠へ下りる  前方は糸ノ越三角点ピーク      目的地の三崎半島を眺める

 
          箱峠が見えて来た                         箱峠の駐車場


                箱峠にあった「四国の道」案内板 (環境庁・香川県)



第三部  箱崎〜糸ノ越三角点〜糸ノ越〜(四国の道)〜三崎 (約1時間50分)

「糸の越」三角点は少し探したが見つからずそのまま通過した。その為「生里」(なまり)三角点もどうでも良くなりパス
してしまい、後日再度挑戦する事になった。従って糸の越から三崎までを「四国の道」の平凡な歩きとなってしまった。




箱峠〜三角点「糸の越」〜糸の越 (約50分)

14時45分箱峠の駐車場に着く。さて、次は何処へ進んだらいいのやら・・・ 辺りを見渡すと峠を右に少し下がった
所に道標がある。ここから又山の中へ入って行く。同じ四国の道でも、最初は階段があったが直ぐに少し荒れた道になった。

恐らく現在はほとんどの人は舗装道路を生里方面へ歩くのだろう。道は直ぐに分かれ道となり左手は尾根を外す道へ、右
手へは尾根筋のアンテナ方面へ。二つの道は地図に破線として載っている。ここは迷わず尾根筋へ進む。5分ほどでアン
テナが立つ場所に着くがそこからは道がない。尾根筋に沿って藪を進が所々に往年の道らしき痕跡がある。スズタケの中にお地蔵さんが2体あった。


 
14時46分道路を少し右に下がり次の山へ入る            直ぐに二又に分かれる  ここは右手の尾根筋へ進む

 
   アンテナまでは道があるがその後は道が消える          14時53分 笹藪の中に石仏が祀られていりる

 
  藪いた稜線の左に荒れた道の痕跡がある              15時03分 又石仏が藪に埋もれて立っていた

15時08分ピークに着くと大き目の石像があり、この山頂部を取り巻くように石積みがされている。全体がスズタケや
低木の藪になっているので取り敢えず目を透かして三角点の支柱と点石を探してみる。15分程山頂部をウロウロするが
そんなに簡単に見つける事が出来なかったので西側へ向かって下りる。途中で沢の様に凹んだ溝に沿って下りると15時
35分民家の裏手に出て、更に路地を抜けて舗装道路に下りると「糸の越」バス亭があった。




    15時08分 四等三角点のピーク入り口に立つ 石仏 第十一番 醍醐寺 と刻印がある

 
  山頂部は石で囲まれている                    10分程 やみくもに三角点を探すが見つける事が出来なかった

 
     大岩の横を抜けて適当に下山                  途中から深く掘れこんだ道(?)の様な縁に沿って下りる

 
    15時35分民家の裏手に下りる                  狭い路地を抜けて下っていくと「糸之越」バス亭に到着


糸の越〜三崎  (約1時間)

糸の越バス停から舗装道路を南の仁老浜方面(左)へ上り坂を進むと民家があっておばあちゃんと孫が庭先で遊んでいる。
その南側に畑があり、その間を次の稜線へ進む事が出来そうである。この家の私有地なので先ほどのおばあちゃんに「こ
こから三崎へ歩けますか?」と聞くと「三崎へはそちらからは行けません。真っ直ぐに道路を進むように」と丁寧に言わ
れた。そう言われた以上私有地に踏み込む事も出来ずに尾根歩きを諦めて「四国の道」を進む事にした。


15時50分海岸線に出て仁老浜の北端にある三崎への遊歩道に入る。尾根道を一旦外してしまえばもう尾根に戻る気が
しなくなり、早くこの縦走を終わらせたい気持ちが強くなりそのまま四国の道を歩く。ここは以前に歩いた事のある海岸
線沿いの静かな場所で整備も行き届いた道だ。

 
     糸ノ越から快適な四国の道を歩く        15時50分海岸線に出る

 
15時52分 仁老浜の北端にある三崎への遊歩道入口    16時10分 室浜分岐

どんどん歩いてどんどろ石、立石休憩所、三崎神社の鳥居を経て16時36分「讃岐三崎灯台」へ到着した。詫間峠から
岬まで10時間10分歩き続けた訳だ。


 
   16時22分 立石休憩所                          いよいよ三崎神社境内に入る

 
    静かで快適な四国の道                        16時36分 讃岐三崎灯台に到着 あ〜長かった


灯台から御幸石(おごのいし)を見ながら海岸線まで急な崖を下る。ここが燧灘と備讃瀬戸の境となり、この近くには
「関の浦」という海の関所があり通行税を徴収していた海上交通の要所だ。現在も大型船舶はここから備讃瀬戸南航路
へ入って行く入口であり、備讃瀬戸北航路からの出口となっている。


すぐ前にある御幸石(おごのいし)付近は潮が強くて鯛の漁場の為漁船が多くいた。又、灯台まで這い上がり自転車を置
いてある生里へと向かう。


 
        三崎の突端まで下がる                           又灯台まで上り返す


三崎〜仁老浜〜生里 (約1時間)

仁老浜には竜宮城の形をしたトイレがありちょっと休憩。その後自動販売機で冷たいジュースを飲みながら17時45分
生里(なまり)の自転車デポ地に帰り付く。
でも縦走はこれで終わった訳ではなく、ここからラッシュの待つ詫間峠まで
折り畳み自転車を漕いで行かなければならない。


 
  仁老浜の海岸まで戻る                              17時30分 仁老浜

 
   ちょっぴり悔しい糸ノ越三角点ピークを眺めながら歩く     17時45分 生里(なまり)にデポした自転車に帰る


生里〜詫間峠 = 折り畳み自転車 (約1時間10分)

自動車で走れば何ともない海岸線ではあるが、自転車で走ると思いのほかアップダウンがある。鴨の越辺りで夕日を見た
いので上り坂を喘ぐ。
18時57分既に暗くなった詫間峠のラッシュに帰り付いた。


       18時23分 鴨ノ越、丸山島の美しい夕暮れを見る


   19時前にやっと詫間越のラッシュに帰還  よう歩いたわい

合計12時間30分に及ぶ荘内半島縦断の旅はここに若干の課題を残しながらも無事終了した。


エピローグ 残した課題 三角点「糸ノ越」と「生里(なまり)」へ   

平成26年4月1日荘内半島を縦走したが、後半の三角点が未確認であった。この為日を改めて4月9日再度荘内半島
の宿題を片付ける事にした。今回も三角点標柱が紛失していた「糸の越」にホームセンターで用意して持って行った。



この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを利用したGPSトラック・ログ図  三角点「糸ノ越」と 三角点「古三崎」


箱峠〜四等三角点「糸の越」(146.19m)〜糸の越 (約1時間)

今回は大した歩きにならないので遅くに自宅を出て10時過ぎに箱峠の駐車場に到着。準備をしていると大きな観光バ
スが入って来て切り替えしをしていた。バスの運転手と話をするとツアー登山客を乗せて紫雲出山の登山口に下してこ
こに到着するのを待つと言う。話の途中でツアー添乗員から携帯が入って紫雲出山へ行く途中で一人体調を崩した登山
者が出たので急きょ紫雲出山の山頂まで来て欲しいという依頼だった。狭い道を大変なこっちゃ。


10時25分箱峠から尾根筋の「四国の道」へ入る。5分ほど進むと道が二手に分岐している。前回同様アンテナの立
つ尾根へと進む。藪を更に5分程歩くと第一石仏発見〜


第5番藤井寺と書かれた千手観音の様である。そこから破線の踏み跡を探して左へ回り込むがさしたる成果も無く山頂
へ上がる。▽爺さんから標柱は無いとの情報で今度は三角点標石を探すと直ぐに発見出来た。10時50分あっさりと
三角点に遭遇する。まあこんなもんだ。土に埋まった三角点標石を掘り起し、その近くに持ってきた標柱を立てる。
後ろ側にある低木を良く見ると▽爺さんの目印があった。


 
     五番藤井寺と刻まれた石仏                    三角点を掘り出して私設三角点標柱を立てる


                      四等三角点 「糸ノ越」

 
         ▽爺さんの目印があった                   この桜の樹の向こうに三角点がある

この場所は山頂石仏から北側に約7m(途中溝を越える)に桜の樹があり、ここから西に3mの地点だ。近くにウバメ
ガシの様な細い枝を伸ばした木があり、この奥の幹に▽爺さんの目印が張り付けられていた。


時代の流れで素朴な信仰心が次第に薄れて来て、裏山に置いた鎮守、豊漁の神仏に参る風習も廃れてきた様だ。
前回と同様に溝上の道(?)に沿って11時30分民家の裏手に下りる。糸の越のバス亭近くに「糸之越地蔵堂」があ
り中を覗くと綺麗にお地蔵さんを祭っていた。


 
   前回と同じ場所に下りる                             糸之越地蔵堂

糸の越〜三等三角点「生里なまり」(127.11m)〜三崎 (約2時間)

さて、今回はここからも尾根伝いを歩くつもりである。幸いな事に前回会ったおばあちゃんの姿は無く、畑の間を小走
りに通らせて頂く。するとその上側にも民家の様な建物が一軒あった。すぐに道は消えて覚悟の上で藪尾根を進む。す
ると規模の大きな竹林が出てくるがイノシシの掘り返しがあり相当荒れている。竹林を過ぎると又なだらかな藪尾根と
なり11時54分倒壊した小屋があった。尾根は灌木藪と薄いスズタケにツツジが沢山花を付けている。


 
11時35分前回おばあちゃんがお孫さんと遊んでいた民家         奥にもう一軒民家があった  ここから右手に入る
    左上の電柱に向かって畑の間を抜けて上がる      

 
   11時45分 大きな竹藪に入る                    11時54分 壊れた小屋を通過

 
12時05分 のどかな里山風景                       12時15分室浜への道に出合う

12時15分予想していた「室浜」からの四国の道に飛び出した。ここから尾根沿いに道は無いと思っていたが、意に
反して以外にしっかりした道が四国の道を横切って尾根に続く。5〜6分その道を進むと大きな石碑があって「殉難の
碑」と刻まれている。裏には昭和38年3月16日に自衛隊機がここに墜落して10名が殉職した様な記述と殉職者名
が刻まれていた。真新しいユリの花等が祀られていたので関係者の方が今でも参っている様である。家に帰ってインタ
ーネットでこの航空機事故を検索したがヒットしなかった。


 
比較的しっかりした踏み跡が尾根にそって進む              12時22分ひっそりと殉難碑があった


さて、ここまでの道はこの殉難碑を訪れる目的で作られたもので、そこから道は途切れていた。道の無い尾根を進むと
12時36分三等三角点「生里」標高127.11mに出合う。三角点標柱が倒れて転がっていた。藪の無い場所では
標柱が転がっている三角点は容易に見つかるものだ。ここにも▽爺さんの目印が近くのウバメガシの樹に括られていた。

 
12時36分 三角点標柱が倒れているのを発見       ▽爺さんの目印もあった


            三等三角点「生里」(なまり)

そこから10分程進むとやけに岩が多くなる。立石に近いから当然か〜と色んな岩を楽しみながら下がっていくとあれ
?正面に海が見えて左手の少し高い所に別な尾根が見える。どうやら支尾根に乗ってしまった様なので少し引き返して
本尾根に戻る。


スペースがある薄暗い灌木尾根を下っていると13時10分大岩の裏側に出た。これが立石展望所の裏側だった。ここ
にある東屋で前方の三崎神社の屋根を眺めながら昼食のパンを食べる。


 
   尾根を間違って岩がある北側へ進んだ為引き返す            13時10分 立石の裏側に出る

 
  前方のピークに三島神社の屋根が見える               立石休憩所で休憩する

少し四国の道を歩いて三崎神社の鳥居から境内を上がると13時25分海上交通の守り神「三崎神社」に着いた。お参
りをした後、神社の裏手に回って最後の尾根を下る。


10分もかからず讃岐三崎灯台の裏側に出た。この沖は燧灘と備讃瀬戸の境目で潮が速く良い漁場になっており、多く
の漁船が御幸岩の周りで漁をしている。


 
   三崎神社への石段を上る                        13時25分 三崎神社でお参りする

 
13時32分 讃岐三崎灯台の裏手に出る                 御幸岩で漁をしている

2つの三角点を訪問出来た事で私の荘内半島縦走の目的が達成された。四国の道からもう一度「糸の越」三角点へ引き
返し掘れ込んだ道を辿ってみると左手に巻いて山頂へは延びていなかった。糸ノ越ピークから下っていると違う石仏に
もお目にかかった。15時04分「箱峠」の車に帰る。


 
     14時10分 仁老浜の桜                      糸ノ越三角点ピークへは掘れ込んだ道を伝う

 
   あれ? 三面六臂像もあるわ                    15時04分 箱峠に帰る

ついでに三等三角点「古三崎」(62.27m)も訪問 (国道から周回 約50分)

時間も早かったので帰りに古三崎の三角点も行ってみる事にした。荘内半島の生里付近の峠部から燧灘へ突き出た半島
の付け根に車を停め花畑を楽しみながら奥へ進む。少し上り坂を越えて生里漁港方面からの道と合流し、ツツジの綺麗
な踏み跡を進むと三角点「古三崎」に出合う。ここにも▽爺さんの目印が樹に巻きつけられていた。突端の海岸線は切
り立っており水際まで下りる事は出来なかった。分岐まで帰って今度は海沿いの道へ下りて車へ帰る事にする。途中で
川江家のツバキという看板があったので見学をして帰る。


 
15時18分古三崎の半島へ入る                         さすが花の荘内半島だ

 
  15時31分  祠があった                         ほどなく三等三角点「古三崎」を容易に発見

 
  もうこれ以上降りられない                         ツツジが大変美しい古三崎


                         三崎半島を眺める


             紫雲出山と鴨ノ越(丸山島) その奥に七宝連山を見る

2日間に渡る荘内半島縦走は里山の難しさ、気楽さ、のどかさ等を楽しみながら満足のうちに終了した。




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