槍ヶ岳 北鎌尾根と東鎌尾根縦走

 平成23年9月22日〜25日


平成23年9月24日〜25日  北鎌から槍ヶ岳登頂と東鎌尾根縦走、燕岳から中房温泉へ

第三日目:槍ヶ岳登頂と東鎌尾根

平成23年9月24日(土)
北鎌平直下のテン場〜槍ヶ岳山頂〜槍ヶ岳山荘 (約 1時間半)

寒い夜を震えながら過ごし、朝起きると予想通りの良い天気だった。

05時15分常念岳の方から夜が明けて地平線上空に紅い筋が入る。マーシーさんを呼ぶが「寒い」の一言。
この男には自然の美しさを愛でる感情は無いのか! (まあ きゃつは酒飲みミュータントだから・・・・)
夕焼けと朝焼けは写真で撮るとほぼ同じように見える。しかしそれを撮る者は大きな違いを感じるのだ。
夕焼けは終焉を意味し美しくももの悲しい。一方朝焼けは希望や活気を示唆し、ここでは小鳥のさえずりは
聞こえないが生命の息吹に溢れている。


05時34分太陽が地平線に姿を現すと一気に周りが明るくなる。朝日に焼けた槍ヶ岳を見にマーシーさんも出て
くる。いつもながら夜明けの太陽は特にエネルギーを感じる。遠く富士山も眺める事が出来た。ありがたや



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   05時15分 東が白んで富士山が見える          05時34分 常念岳方面から太陽が現れた

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    朝焼けの槍ヶ岳   手前の岩尾根で槍の全容が見えないのがちょっと残念だ


さて、冷えた身体を暖かいシジミ味噌汁であっためようとテントに入ると、竈(かまど)担当のマーシーさん
が「気温が低すぎてガスに火がつきません」だと・・・

ウゲッ 何たる誤算! やはりテント泊は経験を積まないとわからない事が沢山あるもんだ。仕方なくクラッ
カーを一枚かじってツェルトを畳み06時03分槍ヶ岳山頂へ向けて出発する。



槍ヶ岳の本峰手前にあるピークを右手に巻く踏み跡を辿るが、その踏み跡はいつまで経っても稜線に上がる
様子が無い。何だか小槍が近づいてくる様子なので、崩壊現場の様な不規則に並ぶ大岩を渡りながら左上へ
と這い上がる。06時23分どうも北鎌平の前方へ出た様だ。
振り返るとテント泊したコルの向うにピラミダルな形をした独標が見える。


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         お〜〜 何か小槍と孫槍が結構迫力ありまっせ〜

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    最初は右手のトラバース道を進む           途中から岩だらけの斜面を稜線部へと這い上がる


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北鎌平の前面へ這い上がる   このドデカい岩群は「天狗の将棋倒し」と名付けよう

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                 06時23分 北鎌独標を振り返る

ドデカい岩を不規則に配した稜線は槍ヶ岳の左手に向って伸びている。

稜線を伝って基部まで進み、最後は更に少し左手から山頂へと取り付くルートになっている様だ。正面の槍ヶ岳
の三角錐壁は白く脆くなったセメントの様な色をしている。左手を覗くと帰りに歩く東鎌尾根が延びてその向う
に常念岳が見える。


06時42分基部に近づくと更に岩がドデカくなり眼前に壁となって聳える。遠くからはルートが見えないが、
近づくと進むべき道が見えてくる。人生の難所でもこんなものだ。06時55分チムニーが眼前に現れこれを這
い上がる。


すると左手に白い木の柱が立っており、何やら人の声がする。二人ともそこが山頂とは思わず、「あれ?先行者
がいるぞ 一体どのルートから来たんやろか」

マーシーさんが「どこから来たんですか〜」って聞くと上から「西鎌からです」と答えが返ってきた。

え? 北鎌直下で西鎌と合流するルートがあるんやろか?と思ってると、我々の先行者と思っていた登山者の数
が増えて何とそこが槍ヶ岳山頂だとわかった。07時07分腑に落ちない思いで槍ヶ岳山頂に這いあがる。



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            06時26分 これが北鎌直下から見上げた槍ヶ岳の姿だ

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 とんでもない岩がごろごろ転がっている          06時42分 岩の斜面を這い上がっていく

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下のチムニーらしき場所はふつーに右手から回避できる     07時00分 上のチムニーは直接這い上がる

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                  山頂直下から北鎌を見下ろす

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07時07分  あれ? 人が大勢いるじゃん 山頂かい!    もう一度途中まで下りて写真を取る

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      崖を一旦下りてもう一度登り直してマーシーさんに写真を撮ってもらう

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           やったぜ !   北鎌     握手があれば拍手は要らない

山頂にいた登山者にもこんな早い時間にヘンな所からふざけたヘルメットを被って這いあがってきたおっさん達を
北鎌の勇者とは認知して貰えなかった様だ。北鎌の存在すら知らない登山者が多いのも事実の様だ。


二人で記念写真をさっさと撮って混雑する槍ヶ岳メインルートを下り、07時40分槍ヶ岳山荘でマーシーさんに
約束どおりビールを奢り、ポカリスエットを補給する。


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   山頂でLNG事業の安全祈願をする              槍ヶ岳一般道を下りる

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槍ヶ岳から見る南岳、大機レット、北穂高岳、奥穂高岳、前穂高岳と北尾根、 右に西穂高岳、焼岳、乗鞍岳

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             槍ヶ岳山荘から見る登山者で混雑する槍ヶ岳

(東鎌尾根を帰る)

槍ヶ岳山荘〜ヒュッテ西岳〜大天井ヒュッテ〜燕山荘(テン場) 約 9時間40分

さて、主目的は達成された。後は長い東鎌尾根を出来れば燕山荘まで帰るだけだ。

07時50分槍ヶ岳山荘を出発。東鎌尾根は以前殺生ヒュッテから少しだけ歩いた経験がある。こちら
側から見上げる槍は鋭く尖っていて迫力がある。標高差があり厳しい岩尾根に変わりは無いが、表銀座
と呼ばれるだけあって丸太梯子などもあり登山道は良く整備されている。


トラバース道で天気が良いのにハイマツ地帯でライチョウに会った。08時23分ヒュッテ大槍の展望所
でちょっと休憩し槍ヶ岳をバックに記念写真を撮る。


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       東鎌尾根を下りる                    こちらの方から見る槍は端正で美しい

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                     北鎌尾根を眺める  結構高度差があるぞ

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     きゃ〜 ライチョウがいた〜                そういえば今回 シェーどころではなかったわ

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      ヒュッテ大槍の展望所はいい場所や     満足そうなイノシシ達の笑顔


先ほど居た槍ヶ岳山頂や槍ヶ岳山荘は既に遠のき、その高さが下った標高差を表しこのルートを一気に下る痛快さ
を感じる事が出来る。(逆に登りはしんどいやろなあ)


槍ヶ岳から南に伸びる稜線も一望出来、北穂高や奥穂高の山塊も見えるが、やはりこの界隈でのランドマークは前
穂高岳を筆頭とする八ッ峰の秀麗な姿だ。08時57分急なガレ場の下りとなりそこには木製の梯子が敷設されて
いた。どうもこの辺りの地質が古いのか岩が脆くて崩壊気味である。


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     左奥の前穂高岳と北尾根はこの界隈きってのランドマークだ

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帰りの東鎌尾根は正面の大天井岳を経て左奥の燕岳まで長〜〜〜い

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           槍沢方面                      崩壊地には梯子がかけられている


行く手を眺めやると、この辺りから水俣乗越のコル部までドンドン下り、そこからまた恐怖の西岳への登りと
なっている。


上高地方面は槍沢が鋭く切れ込んでおりババ平のテン場が見える。沢の左岸にそって登山道も判別出来た。
09時11分名物の2段鉄梯子の崖に到着。確かにこの辺りの岩は脆くて梯子が無いと崩壊が更に進みそうな感じ
である。


黄褐色の脆い尾根を下って09時40分「水俣乗越」に到着。さすが、ここには槍沢と東鎌尾根の分岐点だけあって
大勢の休憩者で溢れていた。


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     正面の西岳への上りが大変そうだ             槍沢が渓谷となりここでは一直線に続いている

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        鉄梯子が2段敷設された崖                 槍ヶ岳を振り返る

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        槍ヶ岳に比べて手前の尾根は脆くて古そうな地形だ

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              09時40分 賑やかな 「水俣乗越」休憩所


ここで5分程休憩し、いよいよ西岳への急登へと向う。斜面では相変わらず落石などがあって脆い地層の様だ。
10時05分水俣乗越が最低コル部だと思っていたが、ピークを越えると更に脆い細尾根が補強丸太に守られて
下っていた。やっと登り地点まで進み、ダケカンバが沢山生い茂った苦しいがとても雰囲気が良い登山道となる。


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あんりゃ?  まだ最低コルがこの先にあった           この辺りは相当脆そうな地質だ

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   ダケカンバが斜面に並び美しい風景を作っている      エリマキトカゲの様な槍が見える

昨日降ったのだろうか、日陰には所々に雪やツララが残っている。ここまで来ると槍ヶ岳も遠のき、両側に北鎌と
東鎌尾根が均等に広がって槍の頭が細いのでまるでエリマキトカゲの様だ。


10時40分後方の風景は北穂高、奥穂高、前穂高となって槍が消えた。登山道は西岳の東(右手)をトラバース
して、峠部まで登ると右手前方にヒュッテ西岳が見える。


11時00分 ヒュッテ西岳に到着。マーシーさんは当然缶ビール、私は受付に置かれた水に浸かった300円の
紅いトマトが目に入り一個買う。う〜〜ん 冷たくて瑞々しくて甘くて最高! スーパーでこの小さなトマトが幾ら
するか知らねど、あまりのおいしさにもう一個買って食べた。これが我々の昼食だった。


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         雪が所々に残っていた              後ろの景色は北穂高と奥穂〜前穂の吊り尾根となる

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  常念岳をバックにビールとトマトで乾杯〜           昨日歩いた槍ヶ岳北尾根と一緒に並んで歩く事になる


今回の主目的は北鎌尾根制覇だったので、結局は西岳(2,758m)も赤岩岳(2,768.7m)にも訪れる事無く後から考える
と勿体無い山行で、一路燕山荘を目指す。11時37分又 西岳をかわすと槍ヶ岳が又左後ろに見えていた。ケルンが
積まれたピーク通過し、11時50分「赤岩岳」らしき山腹をトラバース。


その頃から昨日歩いた北鎌尾根がすぐ左手後方に見えるので何度も振り返り眺めながら歩く。もう昨日の苦しさや寒さ
を忘れている。人間と言う物はかくも楽天的な生き物だろうか。


12時11分 大天井岳をバックに大きな標識があった。赤岩岳50m、大天井ヒュッテまで2.8km、ヒュッテ
西岳から1.3kmとある


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    赤岩岳のトラバース道                       赤岩岳付近の標識


この辺りになると北鎌沢の左俣と右俣の筋が天上沢付近まで良く見える様になり、マーシーさんと自分達が昨日歩い
たルートを確認しながら歩く。そこを歩いた経験が眺める景色を格別なものにする。12時25分行く手に大天井岳
の山塊がデンと構え、手前に一つピークが見える。このピークの向うにヒュッテ大天井があるのだ。



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                        槍ヶ岳がず〜〜〜と見える尾根歩きだ 


先ほどからマーシーさんが忙しそうだ。登山道の脇にブルーベリーやコケモモの実が沢山出現したのだ。アンタは
ライチョウか!?
 このミュータントの好物、コケモモは酸っぱくて口に何か残ったが、ブルーベリーは結構いける
味だった。


12時53分コマクサが咲く様な砂礫地の尾根となり、ハイマツの尾根を右手にトラバースして歩くと13時05分
昨日の振り出し点「貧乏沢分岐」に着いた。


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コケモモを採るオバサン?  いや マーシーじゃないの       ブルーベリーがあるわ あるわ

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          花崗岩の砂礫地                  北鎌沢の右俣が真っ直ぐにコルへ伸びている

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正面の牛首山の右下コル部が大天井ヒュッテだ         13時05分 貧乏沢分岐を通過

こちら側から大天井ヒュッテは登りになっているのでそこから更に30分以上かかって12時36分ヘロヘロ状態で
やっとヒュッテに到着。先に着いたマーシーさんは早速ヒュッテ前に並べられた針金巻きの芯を利用したテラスでビール
を飲んでいた。元気な奴じゃとて。そこにヒュッテ西岳で会った二人連れの若者が追いつき暫く話をする。


一昨日、燕山荘からここまで3時間ちょっとで来たので一安心。13時50分大天井ヒュッテを後にして大天井岳の
斜面を分岐標識まで登り、そこから左手のトラバース路へと進む。2日前にここを歩いた時は天気も悪く暗いイメージ
だったが、帰りは明るく気持ちの良い道に変わっていた。


もう多少ゆっくり目に歩いても日暮れまでに燕山荘に着くメドが出来たのでマーシーさんには悪いがこれ以上活性酸素を
出さない様に更にスローダウンさせて歩く。


最近は何となく筋肉が攣ったりしない自分のペースがわかってきて、なるべくそれに徹する様に心がけている。

所々に鎖などの敷設された岩場もあるが総じて歩きやすいトラバース道を経て14時40分大天荘分岐に到着。分岐
手前からは東鎌尾根の向うに安曇野から大町辺りの町が見渡せる。今までは大天井岳が当面の目標だったが、ここから
は稜線の彼方に見える白っぽい燕岳が最終目標となる。目で見ると近いが実際に歩くと結構アップダウンがあり時間が
かかるものだ。分岐を越して暫く歩き、15時08分振り返ると今まで大天井岳に隠れていた槍が次第に顔を出して
いる。



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初日にお世話になった大天井ヒュッテが見える           ヒュッテから少し進んだトラバース分岐

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      大天井ヒュッテを眺める                  花崗岩の尖がった岩が多い

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      トラバース道の最後は安曇野から大町辺りが見渡せる

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     燕岳までは一見なだらかな尾根道が続く        15時08分 振り返ると又槍が姿を見せる


前方はダケカンバやハイマツの緑に覆われた尾根が続くが、その稜線だけが雪が積もっている様に花崗岩の白い岩と
砂礫地となっている。


15時37分風の当らない右側のトラバース路となる。2日前は冷たい風が当らないこの場所にホッとしたものだった。
15時50分向こう側からは大下りという場所だから、こちらからは大登りに入る。ここが最後のキツイ登りで、これを
越すと後は楽になる筈だ。


16時30分大下りを登りきると暫く大岩の彫刻尾根を歩く。16時44分サンドイッチ岩を通過、一旦低いコルに
下りてその上に燕山荘が近づいてくる。マーシーさんにテン場の確保を頼みゆっくり蛙岩(げえろ岩)を眺めながら
最後の傾斜を歩く。


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    稜線部は白い石灰岩が露出している        右手は樹林帯の緑に覆われて姫川の上流部の街並みが見える

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遠くからは平坦に見えた尾根道も近づけば多くのアップダウンがある。人生もこんなもんやろなあ

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    右手のトラバース道は歩きやすい              大下りが見えてちょっとうんざりする

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   大天井岳という名前が理解出来そうな姿だ       「大下り」を登り切ると今度の目標はあの岩の庭園となる

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 彫刻庭園だ 単調な尾根歩きに変化を与えてくれる   登山者にはもれなくこのセリ割通過がサービスされている  

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        やっと左手に燕岳(つばくろだけ)と右手に燕山荘が近づいてきた

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      振り返ると槍様のシルエットが                  これが蛙(げえろ)岩だろね   

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       尚も岩の彫刻作品が点在する            燕山荘直下の斜面から明日訪れる燕岳を眺める


振り返ると槍ヶ岳が小槍を従えた形でくっきり浮かんでいた。17時30分燕山荘に到着。マーシーさんが決めた
場所にドームシェルターを張る用意をする。他にもテン場スペースはあったが「山小屋から遠いのでここに決めま
した」って事でちょっと隅っこだが悪くない場所だった。


テントを張っていると夕日が綺麗に沈みかけたので作業を中止してマーシーさんには悪いがカメラを持って見晴らしの
良い場所に走る。北鎌の強風と寒さに比べると燕山荘のテン場は天国だった。


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            17時40分 太陽が沈み槍のシルエットが浮かぶ

私は貧しい夕食で満足してテントの中で寛ぐ。マーシーさんは例の如く山小屋の食堂にラーメンとビールを
飲みに出かけたようだ。よく飲みよく食うミュータントだ。

星と糸魚川街道沿いに輝く街の灯がロマンチックな最後の夜に花を添えた。

 

第4日目 燕岳〜中房温泉

平成23年9月25日(日)

燕山荘〜燕岳〜燕山荘 (約1時間)

05時30分テントを出るともう辺りは明るい。雲海が眼下に広がりいい景色だ。05時40分日の出を
拝んだ後、おまけの燕岳(つばくろだけ)へ行く事にする。


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足元は瀬戸内海の海岸を歩く様な砂地であるが、足元には雲海が広がっており間違いなくここは北アルプスの山である。

燕山荘から燕岳へはほぼ水平だから楽チンである。イルカの形をした岩に人工的に目を削った「イルカ岩」や覗き窓
が2つ風化して空いた「覗き衝立岩」などの彫刻芸術展示場所だ。


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           燕山荘から花崗岩砂礫地を通って燕岳に向かう

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    確かにイルカに見えるけど、目の部分は誰かが彫ったでしょ?

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                 燕だけ山頂直下

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花崗岩の節理と風化  石鎚の墓場尾根も将来こうなるのかな   奥に大天井岳から始まる常念山脈が見える

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        燕岳山頂直下                      燕岳 三角点  2,763mとある

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                       まあ 折角やから槍をバックに記念写真でも

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奥側に北燕岳があり、この近くがコマクサで有名らしい   覗き窓は大天井岳を向いており、槍ヶ岳のアングルは無かった

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ズームにすると槍ヶ岳北鎌が 北鎌コルから山頂まで見渡す事ができる

燕岳(つばくろだけ)は
お手軽で一度訪れたら納得する様な山ではあるが、ここはコマクサで有名な花の山という
価値だろう。しかし四国からはいかにも遠い。06時10分三角点のある山頂に寄りテン場に帰り乾かすために
張ってあったドームシェルターを手早く片付ける。


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燕山荘テン場、一番奥が私のドームシェルターII       陽が当たってよく乾いた。 眼下には雲海が広がる

燕山荘〜合戦小屋〜中房温泉登山口 (約 2時間)

帰るとなったら逃げ足は速い。07時15分下山開始、07時46分合戦小屋、09時06分中房温泉登山口
登りに5時間かかった道を下りは多くの登山者を「特急便で〜す」って道を譲って貰い2時間弱で走り下りた。
下からも上からも沢山の登山者が行きかい人気の山である。

70歳位のお年寄りが重たい荷物を担いで木の階段を登りかねていた。マーシーさんと「あれで無事に燕山荘まで
行けるんだろうか?」と心配になる。昔取った杵柄、幾つになってもテントを担いで山へ行く気力が体力を凌駕す
るんだなあ。


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合戦小屋  向こうのケーブルは荷物専用だ           合戦小屋もにぎわっている

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中房温泉登山口に到着  (温泉に入りに又ここに帰る)    09時18分 中房温泉公営駐車場へ帰る 車は一杯だった

09時18分駐車場に帰って着替えの乗せてある車で又登山口の露天風呂へ引き返す露天風呂は風情がある広い
池みたいなのが2つあるが、如何せん洗い場が6人分しかないのが欠点。

まさか体を洗わずに湯船に入るわけにもいかず、多くの登山者が来るから洗い場がお混雑しており、横の冷たい岩に
座って素っ裸のまま冷たい風に吹かれながら順番待ちの運命が・・・ ここは是非洗い場を増やして貰いたいものだ。
露天風呂は泉質も良く暖まり、登山者と山の話をしながら寛ぐ。

休憩室の食堂で信州ソバを食べ、カーナビを「自宅に帰る」にセットして四国を目指す。安曇野だからワサビ田が
あってワサビ販売店があるものの、お土産物屋が豊科インターまで見当たらなかった。


振り返ってみると最後は思ったよりあっけなかった「槍ヶ岳北鎌」であったがそれまでの行程は充実したものがあった。
中房温泉から出発する事で伝統の表銀座(東鎌尾根)を帰りに通して歩く事も出来た。又。燕岳(つばくろだけ)も
訪問出来たし十分満足出来た北アルプス遠征であった。

つばくろさんややまちゃんを含めて我々四国の藪イノシシ達が槍ヶ岳北鎌を歩いたという実績が他の四国の山歩き
同好者の励みになり後に続いて欲しいものだ。

http://entotsuyama.hobby-web.net/kitakama-add70.jpg
平成23年9月24日(土) 07時10分 マーシー・エントツ山 北鎌より槍ヶ岳に登頂す

この登山記を我々を北アルプスへと誘(いざな)ってくれた恩人「高御位山」さんと、北鎌尾根を歩いた
実績を先人として示してくれた「つばくろさん」・「やまちゃん」、そしていつも陰ながら支えてくれて
いる四国の山仲間達に捧げます。 ありがとうございました

同行のマーシーさん お付き合いありがとう〜〜



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